世界で活躍するランサーエボリューションは、各国の専門誌も注目!

今回取り上げるのは、イギリスの代表的エンスージアスト雑誌であるカーマガジン。今年の6月号で、スポーツセダンとして世界的に高い評価を得ているBMW M3とエボ7の比較記事を掲載している。
まず、簡単にM3のスペックを紹介しよう。搭載されるエンジンはBMW伝統のストレート6、3.4L。DOHC24バルブヘッドとVANOSと呼ばれる可変バルブタイミング機構を持ち、343ps/7900rpm、27.5kgm/4000rpmを発生し、6速MTを介して後輪を駆動する。0→100km/h加速を5.2秒でこなし、最高速は250km/h(リミッター作動)に達する。車重は1570kg。以上のスペックを見れば、エボ7のライバルとして不足のないことがわかるだろう。カーマガジンが両車の比較記事のフィールドとして選んだのはイギリス・ウェールズ地方。
ツイスティなワインディングロードが続くうえに、取材当日はイギリスらしく雨も降っている。
まず、最初にM3のステアリングを握り、エボ7を従えながら走るレポーターのマーク・ウォルトン。「こうしたワインディングロードでさらにウェットという状況では、どう考えてもラリーウェポンとして開発されたハイテク4WDのエボ7が有利としか言いようがないが、M3も後輪駆動ながらとにかく速い。高性能な後輪駆動車にとってはもっとも不利な状況だが、M3は実にコントローラブルだ」これはM3の優れたトラクションコントロールに助けられているに違いないと考えたウォルトン・リポーターは、大胆にもトラクションコントロールをオフにしてみる。
「トラクションコントロールをオフにして進入した次のコーナーでは、M3はいとも簡単にテールを振りだしながらコーナーを脱出する。レスポンスに優れたステアリングのおかげでコントローラブルだが、それなりのドライビングテクニックは不可欠だ。しかし、バックミラーの中には、エボ7があっというまに距離を詰めて迫ってくる。ハイテク4WDの優位性を垣間見た思いだ」とM3の後輪駆動車としては優れたシャシーを絶賛しながらも、エボ7の4WDならではのスタビリティの高いハンドリングを高く評価している。
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続いてエボ7とM3の概要を説明している。「エボ7はトミ・マキネンのWRCラリーカーのベースとして開発されたが、より市販車に近いグループNマシンとしても優れた資質を持っている。ご存知のとおり、グループNはディーラーからクルマを手に入れて、タイヤを代えるぐらいでそのままラリーに参加できるカテゴリーである。こうしたレギュレーションではエボ7の戦闘力がもっとも高いといっていいだろう。一方、M3は初期型はグループAレースのために開発されたが、2世代目、そして3世代目となる現行車は競技車両としてではなく、優れたGTカーとして開発されたので、エボ7とはコンセプトがまったく異なる」いよいよウォルトン・リポーターがエボ7のステアリングを握る。
「エボ6に比べるとエクステリアの印象はいくぶん穏やかになった。しかし、ホールドの良い深いレカロシートに座り、モモのステアリングを握ると、エボ7のラリーベース車という生い立ちが明らかになってくる。そして走りはじめて最初のコーナーを抜けたところで、それはさらに明確になる。何しろステアリングはロックトゥロックが2回転しかしないので、手首の動きだけでノーズが動く。しかし、そのトレードオフとして、高速直進安定性には気をつかうことになる。シフトレバーの動きもダイレクトで、動きも小さく、さらにスムーズでとてもレーシーだ」と少々おとなしくなったエクステリアデザインとは裏腹に、相変わらずレーシーなエボ7のフィールに満足している様子。
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続いてエンジンフィールのインプレッションに入る。「チタニュームタービンや中空カムシャフトといった回転部分の軽量化により、エボ7の2L16バルブエンジンはイナーシャが少なくなっているにもかかわらず、ドッカンターボであることに変わりない。それは3000rpmを越えるといきなり襲ってくる。そして4000〜7000rpmの加速感はもはやスーパーカーレベルといっていい。30分もエボ7のステアリングを握っていれば、誰もこのクルマから降りたくなくなるはずだ。しかし、乗り換えるクルマがM3だとまた話も違ってくる」とエボ7の動力性能の高さを高く評価しながらも、M3のGTカーとしての魅力も忘れていない。 「エボ7はスプリングも硬いが、決して乗り心地が悪いクルマではない。しかし、M3の乗り心地はより文化的で洗練されている。パワステのアシスト量もエボ7より大きくステアリングは軽い。シフトレバーの動きは大きいが操作感は同じようにスムーズだ。そして決定的な違いはエンジンである。エボ7よりトルクは低いものの、ドライバーの右足の動きをミリ単位で感知するようなスロットルレスポンスは、高性能NAエンジンならではである。そして加速感もエボ7に引けをとらないものだ。さらに加速中のエンジンサウンドも素晴らしい。しかし、細かく観察すると60psもパワーの低いエボ7の方が若干速く感じられる。それはエボ7が190kgも軽いからである。実際、このウェールズのワインディングでも何度となくM3をオーバーテイクすることに成功している」 |
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「両車を乗り換えながらハンドリングを観察すると、明らかにエボ7の方が俊敏なことがわかる。ステアリングを切り込むと同時に、無駄な動きを一切見せることなくノーズが内側を向くのである。これには新しいヨコハマタイヤをはじめ、ACD、AYC、EBD、スポーツABSといったハイテクシステムがスクラムを組んで素晴らしい仕事をしているからに他ならない。さらにドライバーにこれらの作動をまったく感じさせずに、自然に行なわれるところが凄い。ただ単にドライバーをこれらの素晴らしいシステムの恩恵にあずかればいいのである。M3も確かに素晴らしいハンドリングを持っているが、エボ7のように努力なしに自然に素早くコーナーを抜けることは不可能だ。ステアリングは3回転以上もするし、路面フィールをあまり伝えないうえに車重も重いので、ドライバーにはそれなりのテクニックを要求する」
それぞれのクルマの生い立ちの違いが、まったく異なる性格をつくりあげているというのが、カーマガジンのエボ7 VS M3の結論である。
エボ7にはラリーカーのベースマシンらしい、扱いやすい速さがあり、M3には高性能NAエンジンと後輪駆動ならでは、スポーツカーらしい楽しさがあると締めくくっている。<
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