ACD+AYC統合制御ランサーエボリューションVIIでは、新開発のACDとAYCを一つのコンピューターで統合制御。フルタイム4WDの新たな可能性にチャレンジしている。ACDは、ハンドル角と車速から求められる基準の車体姿勢に実際の車体姿勢を近づけ、主に車両の安定性を向上させるフイードバック制御部と、ドライバーの加減速操作に応じて素早く反応するフィードフォワード制御部とからなり、両者の最適な組み合わせによりフルタイム4WDの優れた走行安定性を確保。その上で、直結4WD車と同等の優れた駆動性能を実現しつつ操舵応答性を高めている。ACDの制御情報は,媒介変数を介してAYCに伝達され、センターデフの差動制限力が大きいほどAYCが大きな旋回モーメントを発生させる仕様になっている。こうした緻密な統合制御により、コーナーの立ち上がり加速時にはACDが主に駆動性能を、AYCが主に旋回性能をサポート。ACDとAYCそれぞれの単独制御に比べて、ドライバーに加速性能やコントロール性をリニヤに伝え、進入から立ち上がりまでコーナリングのポテンシャルを大きく高めている。 ACD(Active Center Differential)ACDは、センターデフの差動制限機構を従来のVCU方式から油圧多板クラッチ式に置き換え、その差動制限力をドライバーの操作や走行条件に合わせて最適化する、画期的な電子制御4WDシステム。モータースポーツでの使用に配慮し、タイム短縮を目指す上で重要なファクターである駆動性能を向上させつつ、操舵応答性も高めるため、ACDでは前輪50対後輪50に駆動力をバランスよく配分するセンターデフを採用。従来のVCU比3倍以上の差動制限力を確保した油圧多板クラッチ機構によるセンターデフの働きにより、あらゆる場面でエンジン駆動力を確実に路面伝達する。また、この大容量を実現するため、油圧多板クラッチ機構には高面圧下での耐久性と応答性に優れた機械式LSDと同様のスチールプレートを採用。多板クラッチを押しつけるピストン油圧は、各種センサーが検出したドライバーの操作や車両状態に応じてコンピューターで最適制御。センターデフの差動制限力をフリー状態から直結4WD状態まで、自在に制御可能となった。加速時には、大きな差動制限力を発生させて直結4WD状態に近づけ、また旋回時には、差動制限力をフリーに近づけて、4WDの優れた走行安定性と操縦応答性を両立している。このACDは、舗装路、未舗装路、雪道の各路面に合わせて最適化を施した3種類のモードを備え、切替スイッチで選択できるシステムも盛り込まれている。加えて、競技レベル操作に応えるため、パーキングブレーキ操作時には、差動制限力をフリーに近づける機構も採用。素早いサイドブレーキターンが可能となっている。 AYC(Active Yaw Control)AYCは、リヤデファレンシャル内に設けたトルク移動機構をドライバーの操作や車両状態に応じてコンピューターで最適に制御し、後輪左右間の駆動力差を適正化する。これにより、車体に働くヨーモーメント(旋回力)をアクテイブに制御し4輪のタイヤ負担を均等化するとともに、減速感をともなうことなく旋回性能を向上する三菱独自のシステム。旋回中に加速した場合は、旋回外輪に駆動力を移動させてアンダーステアを低減させ、逆に減速した場合には旋回内輪に駆動力を移動させて減速時の安定性を高める。また、スプリットμ路や低μ路では有効な駆動力確保に寄与するなど、すでにエボリューションWより採用し、その効果を存分に実証している。VIIでは、リヤデフのトルクトランスファ各部をエンジンのトルクアップに合わせて補強するとともに、ブリーザー機構やクラッチ作動耐久性を向上。これを制御するコンピューターや油圧ユニット、センサーなどはACDと共用一体化。軽量コンパクト化を図るとともに、信頼性の向上にも寄与している。 |
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