
ランサーエボリューションIX MRの開発にあたってのエンジン面でのテーマは、ランサーエボリューション\で追求した、あらゆる回転域でドライバーが求めるパワーとトルクを瞬時に生み出すこと、さらなる「レスポンス」の向上だった。そのために行われたのが、MIVECのバルブタイミング制御とターボのコンプレッサーサイズのファインチューニングだったのだ。
ランサーエボリューションIXで初採用となった4G63エンジンの連続可変バルブタイミングシステム「MIVEC」は、高回転域では吸気バルブの閉じるタイミングを遅らせ、充填効果を高めて高出力を確保し、低回転域では吸気バルブの開くタイミングを遅らせ、吸排気のオーバーラップを小さくすることで燃焼を安定させるシステムのこと。バルブの開閉タイミング制御にさらにファインチューニングを施し、よりレスポンスを高めたのがIX MRに搭載された4G63だ。
これに加えてタービンを変更。タービンホイールの材質を軽さと耐久性で定評のあるチタンアルミブレード全車標準とし、さらにコンプレッサー側のノズル径も変更。これまでのTD05-16G-10.5TからTD05-155G-10.5Tへと小型化しているのだ。吸気側を小径化することで吸入空気量が減少するものの、アクセルに対するレスポンスは向上する。また、ストイックに性能を追求したいというユーザーに向けては、コンプレッサーホイールにマグネシウム合金を用いたチタンアルミ&マグネシウムターボチャージャーがオプションで用意されている。
フロントにマクファーソンストラット倒立式、リヤにマルチリンク式という歴代エボリューションで熟成されてきたサスペンション形式はそのままに、よりシャープで高い接地性を求めた改良が行われた。その筆頭となるのがWRCと並ぶ世界最高峰の自動車レース「F1」でも実績のあるアイバッハ社製のスプリングを採用したことだ。
10mmのローダウンとフラット感を実現したアイバッハ社製のスプリングは、エボリューションの走りにベストマッチさせるべく共同での開発を進めてきた自信作。これまでのスプリングに対して自由長の変更とバネレートの見直しを図っている。
同時に、ビルシュタイン製のダンパーも変更を行った。アイバッハ社製スプリングの高次元な性能に合わせて減衰力の最適化を図ることで、ドライバーの操作に対してリニアで質感の高い走りをみせてくれる。ターマックでの走りのレベルアップのため、10mmのローダウンは低重心化にも寄与している。
ブレーキは従来同様のイタリア・ブレンボ社製アルミ軽量キャリパーを装備。アルミホイールには標準ホイールに対して4本合計で約4kg軽量化となるBBS社製17インチ鍛造タイプが、装いも新たになって全車メーカーオプションとして用意されている。
サスペンションの変更にともない、4WDシステムにも若干の変更が施された。スーパーAYCは、コーナリング性能を高めるため、左右の駆動移動の制御の上限を10%引き上げる方向でチューニング。そしてACDについては、\MRのサスペンションのセッティングに合わせ、自然な操舵感を実現すべく、ターマックモード時の制御をファインチューニング。
ACDとAYCを組み合わせた三菱の電子制御4WDシステムは、ランサーエボリューションVII登場時から継続して採用されたもの。モデルが代わるごとに進化を続け、ランサーエボリューションには欠かせないアイテムとしての地位を確立した。
ACDは前後の基本駆動力配分を50:50に設定し、走行状況に応じて油圧多板クラッチでセンターデフの差動制限力をフリー状態から直結4WDまで変化させていく電子制御システムのこと。「ターマック」「グラベル」「スノー」の3種類の制御モードが設置され、路面状況に応じたモードを任意で選択することにより、高い次元の走りを実現してくれる。
一方のAYCは、駆動力をコーナリングなどの状況に応じて、左右輪の間で移動させ、ヨーモーメントをコントロールするシステム。路面状況や舵角、横Gなどをセンサーによって検知しながら車両状況を把握し、遊星ギヤと増減速ギヤとを介してコーナリング性能を向上させる。
ランサーエボリューションIX MRではこのふたつの電子制御システムをファインチューニングすることによって、ターマックモードでの旋回能力と操縦安定性をさらに高めることに成功した。
バルブ開閉タイミングをファインチューンし、より扱いやすくなった4G63MIVECエンジン。
さらにコーナリング性能を追求しチューニングを施されたサスペンション。
アイバッハ社製のコイルスプリングと専用にマッチングされたビルシュタイン社製ダンパー
新たにダイヤモンドブラッククリアの塗装が施されたBBS社製鍛造アルミホイール(メーカーオプション)
サスペンションに合わせ、制御がファインチューニングされたACD
コーナリング性能アップのため、に駆動力移動制御の上限をさらに10%アップしたスーパーAYC
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