Home>エボリューション>ランサーエボリューション IX MR>藤井啓史氏が明かす IX MRの魅力

ランサーエボリューション IX MR

車両実験担当者3人が証言!4G63ファイナルモデルランサーエボリューションIX MRの真実
杉村哲郎氏
杉村哲郎
第一車両実験部 操安乗心地試験グループ

2001年入社。現在は操安乗心地グループに所属、サスペンションだけでなくボディも含めたトータルで走行試験を行なっている。入社直後からエボVIIIの開発チームに加わり、現在まで一貫してランエボの開発に携わっている。また、自らエボIXのステアリングを握り全日本ラリー選手権にも出場。「ラリーはあくまで趣味です」とのことだが、開発に大いに役立っているのは間違いない。

数字だけ見るとちょっとのローダウンに思えますけど、実際にはかなり乗り味が向上しているんです。

ランサーエボリューションIXと比べての変更点で注目していただきたいのは、サスペンションにアイバッハ社製のスプリングを採用し、サスペンションを10oローダウンし低重心化を実施したことです。

数字だけ見るとちょっとのローダウンに思えますけど、たったこれだけで実際にはかなり乗り味も向上しているんです。 スプリングに合わせて減衰特性も見直し、高い旋回性能としなやかな乗り味の両立が実現できたと自負しています。サスペンションの接地性が上がってますから、全体的にはマイルドで乗り易くなっていると思います。

それから、サスペンションの変更に合わせて、ACDやスーパーAYCのセッティングも変えました。 簡単に言えばより曲がる方向にしました。 ACDに関しては、従来と比べて、ターン・イン時にはセンターデファレンシャルの拘束力を弱めて回頭性を高め、また、加速時には、トラクション性能を向上させているのが特徴です。 スーパーAYCに関しては、従来と比べて、80〜100km/hでの旋回時の効きを高めて曲がりやすくしています。


布野 洋氏
布野 洋
機能実験部

1987年入社。入社後から車両実験部・車両試験グループに所属し、当時はRVRやシャリオなどの開発に従事していた。90年以降は機能実験部の評価グループに所属。テストコースなどを走行して開発車両の評価を下す任務をこなしている。ハードな走りでクルマをいじめ抜くのも仕事の一貫で、テストコースを全開で攻めるドライビングテクニックもかなりハイレベルなものだ。

今までのエボリューションの中ではトータル的な部分で最も完成度が高くなっています。

ランサーエボリューションIX MRで採用したアイバッハ社のスプリングは縮み方がスムーズな点が特徴で、同じレートでも乗り心地が良く感じるんです。なので、乗り心地を損なわずレートを高めることが出来、その結果としてランサーエボリューションIX MRではより操縦安定性が向上しました。

車高も下げたのでロール時の安定性も上がりましたし、接地性も向上しています。 路面のミューが変化しても姿勢が安定しており、限界時のコントロール性も向上しています。

ACDやスーパーAYCに関しても、よりコーナリング重視のセッティングに変更しました。 回頭性や旋回性はランサーエボリューションIXより向上していますが、ピーキーになったというわけではありません。 細かいところではアクセルレスポンスが向上しているとか、遮音性が高いなど、今までのエボリューションの中ではトータル的な部分で最も完成度が高くなっていると言えます。


倉地 保氏
倉地 保
第一車両実験部 C-seg担当

1989年入社。入社後から現在の部署に配置され実用性/耐久性の担当となるが、試験部門の調整役も行う役目も担っている。これまでディアマンテ、ギャラン、パジェロなどを担当してきた。ドアの閉まり具合、シートのホールド性などの使い勝手を向上させる実用性試験、また悪路走行などの耐久試験や過酷走行試験をしている。ランサーエボリューションはVIIIから担当している。

質感の向上という点もこのモデルの開発コンセプトのひとつでしたから、室内の遮音性についても厳しく確認しました。

ハンドリング性能や空力特性の向上のアイテムが、実用性で相反することがあり、今回のMRでも、10mm車高ダウンとフロントのエアダムが下方向に10mm伸びたという点、これが実用性の面でキーポイントになりましたね。 つまり、市街地でのちょっとした段差で路面とヒットしたりしないかとか、その性能と実用性のバランスをチェックしてきました。 それと、質感の向上という点もこのモデルの開発コンセプトのひとつでしたから、室内の遮音性についてもレベルアップを計りました。 いずれも自信を持って「合格」といえるでしょう。

ランサーエボリューションIXの時はセダンよりもワゴンのほうがよりファミリーユース指向が強いということで、ワゴンとしての遮音性を追求し、結果的にセダンより、少し多くの遮音材を使っていました。 でも、今回のランサーエボリューションIX MRでは、セダンでもワゴン並みに遮音材を追加し、煩わしい音を低減するようにしました。セダンのGSRの車重がカタログ値で、エボリューションIXに比べて10kg増えていますが、このうちの一部はこの遮音材のためですね。

また、ランサーエボリューションでは、岡崎工場のテストコース内にあるハンドリング路を1日かけて100〜150周ぐらい走行したり、所外のグラベルコースでも散々走りまわりました。 それだけ入念な試験を行ったわけですから、スポーツ性、快適性、そして耐久性の面でも、かなりの自信作といえますね。