


加藤:やはり低速トルクの立ち上がりの速さが4G63の最大の魅力でもあり、最もこだわりたい点でもありますね。 2500回転ぐらいでピークに達するので、そういうエンジンは他にはあまり無いと思います。 これにはボアストロークの設定とツインスクロールタービンが大きく影響していると思います。
川上:加藤が言うように、低中速からの極太トルクとハイレスポンスが4G63の最大の美点と思っています。 それに大きく寄与しているランサーエボリューションIVから採用したツインスクロールターボ&エキマニは、イチから設計しました。 いろいろ苦労しましたが、部品設計経歴の中では自信作のひとつと思っています。
中道:細部までこだわって改良に取り組みましたが、その一例として、ピストントップ形状もいろいろテストしたんですよ。 それらを通していろいろ勉強になりましたね。
川上:ランサーエボリューションのエンジンは、ともかく普通の車では採用してもらえないような技術を惜しげもなく採用していますので、開発していても非常に楽しい車です。
中道:プレッシャーというのはありませんし、限界も感じたことはありません。 進化させるためにテストしていくとどんどん変わっていくので、逆に楽しんでいるという感じです。
川上:普通のエンジンに比べれば、多少はプレッシャーがキツいエンジンなのは事実です。 でも、それだけに性能を高めるためのやりがいを感じるエンジンですね。
加藤:コストダウンへのプレッシャーは確かにありますね(笑)。
4G63はかなり贅沢に造られたエンジンだと思っていただいていいでしょう。 ロッカーカバーにマグを使ったりしていますし。 あえて言うなれば、ブロックが鋳鉄製で重いってことがデメリットでしょうか。 しかし、そのデメリット以上に信頼性が高いということが4G63の大きなメリットでもあります。
ランサーエボリューションIXの4G63は性能と価格を考えたらかなりお得なエンジンだと思います(笑)。
中道:自分としては大いに勉強させてもらったエンジンだと思っています。 自分が担当したのはランサーエボリューションVからですが、毎年改良アイテムを考えて造って試しての繰り返しでした。 ベンチでの実験もやりますが、実車でのテストもやりました。 実際に自分で運転して改良点や問題点を体感し改善してきました。 とてもいい経験ができたと思いますし、今後の開発にも生かしていきたいですね。
加藤:トルクだけ上げるとか、パワーだけ上げるっていうのは難しいんですが、当時は自主規制もあって、トルクとレスポンスを重視した開発のおかげで、結局はいろいろなノウハウを蓄積することが出来ました。 数字には語れない良さ(レスポンス、全体のトルク感など)が詰まったいいエンジンですよ。
川上:ランサーエボリューションのエンジン全体に関わったのはIXからで、その前はパーツ設計で関わっていましたが、楽しかったしやりがいもあったエンジンだと思っています。 残念ながら4G6はランサーエボリューションから身を引くことになりますが、ぜひランサーエボリューションのような車種開発の仕事に、今後も多くの若い技術者に携わってもらいたいですね。 ただし、ランサーエボリューションの開発というと、一番の花形に見られがちですが、すべての車種の開発は同様に重要であり、実際にみんながそれぞれ情熱を注いで開発しています。 今後もどんなクルマに載せるエンジンでも、しっかりとしたエンジンを造っていきたいと思っています。